両端固定の棒(直列の不静定)の解き方
両端を剛体壁に固定した棒の中間点 C に軸方向の荷重が掛かる不静定問題の解き方です。つり合い式だけでは足りないところへ変形の適合条件を足して、反力と C 点の変位を求めるまでの手順と、符号の約束、結果の確かめ方をまとめています。
静定と不静定の違い
つり合い式だけで解けるのが静定、解けないのが不静定です。この棒は未知の反力が と の 2 つあるのに対し、軸方向のつり合い式は 1 本しか立ちません。式が 1 本足りないので、力だけを見ていても答えは決まりません。
足りない 1 本は変形から持ってきます。両端の壁は動かないので、棒の全長は荷重を掛けても変わりません。これを式にすると、力のつり合いとは独立した条件がもう 1 本得られます。不静定問題の要点は、この「変形を考える」ところにあります。
解き方
1. つり合い式を立てる
棒全体を 1 つの物体と見て、軸方向の力のつり合いを取ります。
未知数は 2 つ、式は 1 本です。ここで止まるのが不静定問題です。
2. 変形の適合条件を立てる
C 点で棒を切ると、区間1 の軸力は (引張)、区間2 の軸力は (圧縮)になります。それぞれの伸びはフックの法則から次のように書けます。
両端が動かない以上、棒の全長 は変わりません。つまり 2 区間の伸びの和は 0 です。これが変形の適合条件です。
3. 連立して解く
区間ごとのばね定数を と置くと、適合条件は と書けます。これをつり合い式と連立すると、反力と C 点の変位が決まります。
反力はばね定数の比で配分されます。C 点を挟んで並んだ 2 本のばねが荷重を分け合っている、と見ると分かりやすいはずです。硬い(k の大きい)側が、より大きな反力を受け持ちます。
断面積とヤング率が全区間で等しいとき
、 のときは 、 なので、上の式から が約分で消えて長さだけの式になります。
反力は「反対側の区間の長さ」に比例して配分されます。短い側のほうが硬いので、大きな反力を受け持つ、という向きです。材料が何であっても答えが変わらないのは、 が約分で消えるためです。段付きにしたり材料を変えたりすると消えなくなり、上のばね定数の式が要ります。
符号の約束
不静定問題は符号の取り違えが最大の落とし穴です。このツールは次の向きを正としています。結果を読むときは必ず確認してください。
| 量 | 正とする向き | 補足 |
|---|---|---|
| 荷重 P | A から B へ向かう向き | 逆向きに掛かるなら P を負の値で入れます。すべての結果の符号がそのまま反転します。 |
| 軸力 N | 引張 | P > 0 のとき、区間1 は引張で正、区間2 は圧縮で負になります。 |
| 反力 R | 壁が棒を押し返す向き(荷重 P と逆向き) | この向きに取ると P > 0 で両方とも正になり、R_A + R_B = P と書けます。 |
| 応力 σ | 引張 | 軸力の符号をそのまま引き継ぎます。負なら圧縮です。 |
| 伸び λ | 伸び | 縮む区間では負になります。2区間の和は 0 です。 |
| C 点の変位 δ_C | A から B へ向かう向き | 区間1 の伸び λ₁ と同じ値です。 |
結果の確かめ方
入力を変えても次の 2 つは必ず成り立ちます。成り立たないときは入力の単位か向きを疑ってください。
- つり合い: 。反力の 2 つを足すと荷重に戻ります
- 変形の適合条件: 。結果欄の「伸びの合計」がこれで、0 と出ます
