軸受配列の選定
回転機械の軸受は使用条件により要求性能が異なりますが、一本の軸に 2 個以上を用いるのが一般的です。軸方向の位置決めのために 1 個を固定側とし、他を自由側として使うことが多くあります。
固定側軸受と自由側軸受
| 区分 | 内容 | 適用軸受形式 |
|---|---|---|
| 固定側軸受 |
| 深溝玉軸受/組合せアンギュラ玉軸受/複列アンギュラ玉軸受/自動調心玉軸受/つば付き円筒ころ軸受(NUP・NH 形)/複列円すいころ軸受/自動調心ころ軸受 |
| 自由側軸受 |
| 分離形:円筒ころ軸受(NU・N 形)/針状ころ軸受(NA 形など) 非分離形:深溝玉軸受/組合せアンギュラ玉軸受(背面組合せ)/複列アンギュラ玉軸受/自動調心玉軸受/複列円すいころ軸受(TDO 形)/自動調心ころ軸受 |
| 固定側・自由側を区別しない場合 |
| 深溝玉軸受/アンギュラ玉軸受/自動調心玉軸受/円筒ころ軸受(NJ・NF 形)/円すいころ軸受/自動調心ころ軸受 |
| たて軸に使用する場合 |
| 固定側:組合せアンギュラ玉軸受(背面組合せ)/複列円すいころ軸受(TDO 形)/スラスト軸受とラジアル軸受の併用 |
軸受配列の例
代表的な軸受配列の要点と適用例です。配列図は出典のカタログをご参照ください。
固定側・自由側を区別する配列
| 例 | 摘要 | 適用例 |
|---|---|---|
| 例1 | 高速回転にも適し、一般に広く使われる。軸受相互間の心のずれや軸のたわみが予想されるときは不適当。 | 中形電動機・送風機など |
| 例2 | 高速回転に適し、例1 より大きな荷重や衝撃荷重が作用する場合に適する。分離形のため内輪・外輪ともしめしろを要する場合に適する。心のずれやたわみが予想されるときは不適当。 | 車両用主電動機 |
| 例3 | 例2 よりさらに大きな荷重や衝撃荷重が作用する場合に適する。固定側に高い剛性を要する配列で、背面組合せとし予圧を与えて使う。軸・ハウジングとも精度を良くし、取付誤差を小さくする。 | 製鉄用テーブルローラ・旋盤主軸 |
| 例4 | 例3 よりアキシアル荷重が小さい場合や高速回転の場合に適する。内輪・外輪ともしめしろを要する場合に適する。固定側に組合せアンギュラ玉軸受の代わりに複列アンギュラ玉軸受を使うこともある。 | 電動機 |
| 例5 | あまり大きなアキシアル荷重がかからない場合に適する。内輪・外輪ともしめしろを要するときにも適用できる。 | 製紙用カレンダロール・ディーゼル機関車車軸 |
| 例6 | 高速回転でラジアル荷重が大きく、アキシアル荷重もかかる用途に適する。深溝玉軸受にラジアル荷重がかからないよう、外径とハウジング内径の間にすきまをつける。 | ディーゼル機関車変速機 |
| 例7 | 最も一般的に使われる配列。ラジアル荷重のほかに、ある程度のアキシアル荷重も負担できる。 | ポンプ・自動車変速機 |
| 例8 | 比較的大きなアキシアル荷重が両方向に作用する場合に適する。固定側に複列アンギュラ玉軸受の代わりに組合せアンギュラ玉軸受を使うこともある。 | ウォームギヤ減速機 |
| 例9 | 取付誤差や軸のたわみがある場合に最も適した配列。大きなラジアル荷重のほかに、ある程度のアキシアル荷重も負担できる。 | 製鉄用テーブルローラ減速機・天井クレーン走行車輪 |
| 例10 | 取付誤差や軸のたわみがある場合に最も適した配列。アダプタで軸受の取付け・取外しを容易にした配列で、段加工やねじ加工をしない長い軸に適する。アキシアル荷重を負担する必要がある場合は不適当。 | 一般産業機械・カウンタ軸 |
| 例11 | 取付誤差や軸のたわみがある場合に最も適した配列。例10 より大きな荷重や衝撃荷重が作用する場合に適する。ラジアル荷重のほかに、ある程度のアキシアル荷重も負担できる。 | 製鉄用テーブルローラ |
固定側・自由側を区別しない場合
| 例 | 摘要 | 適用例 |
|---|---|---|
| 例12 | 小さな機械で荷重が小さい場合に最も多く利用される配列。軽い予圧を与えて使う場合は、一方の外輪側面にばねまたは厚さを調整したシムを入れる。 | 小形電動機・小形減速機・小形ポンプ |
| 例13 | 予圧を与え軸に剛性をもたせる場合に適する。比較的アキシアル荷重が大きく、高速回転を要する箇所に多く用いる。背面取付けはモーメントが作用する場合に適する。予圧を与えて使う場合は予圧の調整に注意する。 | 工作機械主軸 |
| 例14 | 例13 よりさらに大きなアキシアル荷重や衝撃荷重が作用する場合に適する。予圧を与え軸に剛性をもたせる場合に適する。背面取付けはモーメントが作用する場合に、正面取付けは内輪にしめしろが必要な場合や取付誤差がある場合に有利。予圧を与えて使う場合は予圧の調整に注意する。 | 減速機・自動車車軸 |
| 例15 | 軽荷重・高速かつ高精度な回転を必要とする場合に適する。予圧を与え軸に剛性をもたせる場合に適する。背面組合せのほか、正面組合せや並列組合せを用いる場合もある。 | 工作機械主軸 |
| 例16 | 重荷重・衝撃荷重に耐えられる。内輪・外輪ともしめしろが必要な場合にも使用できる。運転中にアキシアル内部すきまが過小にならないよう注意する。 | 建設機械・終減速装置 |
たて軸に使用する場合
| 例 | 摘要 | 適用例 |
|---|---|---|
| 例17 | 固定側に組合せアンギュラ玉軸受、自由側に円筒ころ軸受を用いた例で、高速回転に適する。 | たて形電動機・たて形ポンプ |
| 例18 | 低速・重荷重で、アキシアル荷重がラジアル荷重より大きい場合に適する。自動調心性があるので、軸受相互間の心のずれや軸のたわみが予想される場合に適する。 | クレーンのセンタ軸・たて形ポンプ |
出典:転がり軸受のカタログ・便覧を参考に要約。配列図など図版は原典をご参照ください。
